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保険診療で行える、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術。

 最近、「保険診療で行える、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」について質問を受けることが多くなってきました。

 白内障手術の際には、白く濁った水晶体を透明な人工の眼内レンズに置き換えます。通常の保険診療ではこの人工の眼内レンズは焦点が1か所のみ(単焦点)であり、決まった焦点の場所以外をはっきりと見るためには眼鏡やコンタクトレンズが必要な完全老眼の状態となります。

 焦点が複数あるものは多焦点眼内レンズと呼ばれますが、これまでは自費診療(手術代と多焦点眼内レンズ代が全て自費)や選定療養(手術代が保険診療で多焦点眼内レンズ代が自費)という、純粋な保険診療ではない特別な枠組みを用いての手術加療が必要で、片眼で数十万円の代金がかかっていました。

 

 2019年に発売されたレンティスコンフォートという多焦点眼内レンズは、レンズ代も含めて全て保険診療での対応(3割負担の方で片眼で約4万円)が可能となった眼内レンズです。

 

低加入度数分節眼内レンズ レンティス コンフォート®シリーズ

 

 レンティスコンフォートは通常の多焦点眼内レンズと比較して、加入度数(カバーする焦点距離の範囲)が小さめに設定されているため保険診療での対応が可能となっています。そのため使用した全ての方で、眼鏡使用から解放されるとは限りません。例えば遠方(5m程度)から中間距離(1m程度)の幅で焦点距離を設定した方は手元の細かい文字は軽い老眼鏡が必要となる可能性があります。

 しかし加入度数が小さいことで、通常の多焦点眼内レンズよりもコントラストの低下や、ハローやグレアといった多焦点眼内レンズ特有の不快な光の反射が生じる可能性が低いとも言われています。これらは眼内レンズ内部の、遠方と近方を見るための成分のつなぎ目が多いほど起こりやすいためです。

 また患者さんの生活スタイルや、左右の眼でレンティスコンフォートの焦点距離を少しずらすなどの工夫をすることなどで、眼鏡使用から解放される方も少なくはありません。乱視矯正用のタイプもあり、これも保険診療に対応しています。

 ただし通常の多焦点眼内レンズ同様に、眼に他の病気があったり、近視が強すぎる方などには不向きな場合もあります。

 当院ではこのレンティスコンフォートを使用することで、白内障術後の生活の満足度が上がりそうな患者様には、選択肢の一つとしてあらかじめご説明をさせて頂いております。またご質問も随時受け付けておりますのでお気軽にお尋ね下さい。

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