網膜硝子体手術

網膜硝子体手術とは

硝子体は眼球の内部を満たして、眼球の形状を保っている透明なゲル状の組織です。眼球内で出血や炎症を起こすと硝子体の透明度が落ちて視力障害につながります。また、加齢によって硝子体の組織は萎縮しますが、それによって硝子体に接していた網膜が引っ張られて網膜剥離を起こすと深刻な視力低下や視野欠損、失明などに至る可能性があります。
硝子体手術は、硝子体や網膜に異常があった際に、障害を除去し、修復する目的で行われる手術です。手術は、白目の部分に3・4か所の小さな切開を行って専用の器具を挿入し、硝子体を切除・除去して網膜の修復などの処置を行います。侵襲が少なく安全性の高い手術として、当院では硝子体手術を日帰りで受けられるようにしています。入院の必要がないのでその日のうちにご帰宅でき、心身だけでなく経済的な面の負担も軽減できます。
日帰り手術の場合も、網膜硝子体手術は保険診療で行われます。

麻酔について

硝子体手術では、点眼麻酔に加え、局所麻酔としてテノン嚢下麻酔を行いますので、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。また、局所麻酔ですので手術中に医師と会話が可能です。

手術時間

手術自体の所要時間は30分から1時間程度が目安ですが、網膜の修復など繊細で高度な処置が必要な場合にはさらにかかることがあります。当院では、こうした手術も高度な最新の手術機器を使い、熟練した眼科専門医が丁寧に行っています。安心してご相談ください。

網膜硝子体手術の適応疾患

糖尿病網膜症

糖尿病網膜症とは糖尿病網膜症は、糖尿病の高血糖によって網膜の血流が悪化して生じる糖尿病の代表的な合併症です。日本人の中途失明原因として長年上位を占めています。かなり進行するまで自覚症状が現れないことも多く、突然大幅な視力低下や視野の大きな欠損を生じて失明に至る可能性もあります。糖尿病の三大合併症には、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があります。

網膜静脈閉塞症

網膜を走る静脈が詰まって閉塞し、血液や血液成分が漏出してしまう病気です。眼球奥の眼底出血や、網膜でも感度の高い黄斑にむくみを起こして、大幅な視力低下や視野欠損をはじめとした症状を起こします。
血流不足によって網膜の酸素や栄養が不足して脆弱で異常な新生血管が増殖し、深刻な視力障害につながる硝子体出血や網膜剥離、血管新生緑内障などを合併する可能性もあります。閉塞した血管を元に戻すことはできず、急激な視力低下を起こして、治療をしても視力の回復が見込めないケースもあります。

網膜剥離

網膜は眼球の奥である眼底の内壁を覆っています。外からの光を受けた網膜の視細胞が視覚情報を電気信号に変えて脳に送っています。網膜剥離は網膜が眼底からはがれてしまっている状態です。はがれた網膜には眼底の毛細血管からの酸素や栄養を受け取ることができないため、徐々に死滅してしまい、深刻な視野欠損や視力低下を起こして、失明する可能性もあります。
網膜剥離を起こした際には、早急にはがれた網膜を復位させる手術を受ける必要があります。死滅してしまった部分の網膜を元に戻すことはできませんので、早期発見と早期治療が重要です。
網膜剥離は網膜に孔が開く網膜裂孔を経て生じることが多くなっています。実際にはない小さなゴミが見える飛蚊症や、実際にはない閃光が見える光視症など、網膜裂孔で現れる症状があります。

黄斑前膜

網膜は眼球の内側に張り巡らされていて、目に入って来た光を受け取って電気信号に変えて視覚情報を脳へ送ります。網膜の中心には感度が高い黄斑という部分があり、文字の認識など注視した部分の高精細な視覚情報を得るための重要な役割を担っています。黄斑前膜は、黄斑の上に薄い膜ができて、物がはっきり見えないなどの症状を起こす疾患で、黄斑上膜と呼ばれることもあります。

黄斑円孔

眼球の奥には一面に網膜が広がっていて、届いた光の情報を電気信号に変えて脳に伝えています。黄斑は網膜の中心にあって、見るための感度が高い部分です。注視した部分の詳細な視覚情報を得る際に使われ、文字の認識も黄斑が担っています。
黄斑円孔は、黄斑に孔が開いてしまう疾患です。男性に比べて女性の発症率が高く、年齢では60歳以上の発症が多くなっています。小さい孔が徐々に大きくなっていくため、早期の発見が重要です。

硝子体出血

眼球内を満たす透明なゲル状の硝子体には血管がありませんが、眼底などから出血するとその血液が硝子体の中に漏れる硝子体出血を起こします。硝子体に血液が混じることで透明度が下がり、視力の低下などの症状を起こします。また、大量の出血や深刻な疾患によって出血が起こっている場合、早急に適切な治療を行わないと失明する可能性もあります。急な視力低下や見え方の大きな変化を感じたら、すぐに眼科専門医を受診してください。

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